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武蔵小金井みどりクリニック

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【医師が解説】糖尿病の3大合併症その1-神経障害について-

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【医師が解説】糖尿病の3大合併症その1-神経障害について- 

🔰はじめに🔰

糖尿病は、血糖値が高い状態が続くことで、全身の血管や神経にさまざまな影響を与える病気です。初期には自覚症状が少ないことも多いため、「少し血糖が高いだけ」と感じてしまう方も少なくありません。しかし、高血糖の状態を長期間放置すると、体の中では少しずつダメージが進行していきます。

特に注意が必要なのが、「糖尿病の3大合併症」と呼ばれ、覚えやすく「しめじ」と呼ばれています。

 

▶︎糖尿病神経障害(し)んけい
(手足や内臓を調整する神経が障害される病気)
▶︎糖尿病網膜症(め)
(目の細い血管が障害され、視力低下や失明につながる病気)
▶︎糖尿病腎症(じ)ん
(腎臓の働きが低下し、進行すると透析が必要になることがある病気)

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これらはいずれも、細い血管が高血糖によって傷つくことで起こる「細小血管障害(さいしょうけっかんしょうがい)」に分類されます。つまり、糖尿病による“血管のダメージ”が原因となって発症する合併症です。

 

その中でも糖尿病神経障害は、3大合併症の中で最も早く現れやすいといわれています。足先のしびれや違和感など、日常生活の中で比較的気づきやすい症状から始まる一方で、「年齢のせいかな」「疲れのせいかな」と見過ごされることも少なくありません。

 

さらに進行すると、痛みだけでなく感覚が鈍くなり、足の傷ややけどに気づきにくくなることがあります。その結果、足の潰瘍(かいよう:深い傷)や感染を引き起こし、重症化すると足の切断につながる場合もあります。

しかし、糖尿病神経障害は早期発見適切な血糖管理によって、進行を抑えられる可能性があります。今回は、糖尿病神経障害の原因や症状、検査、治療について詳しく説明します。

 

1. 糖尿病神経障害の原因

主な原因は血糖値が高い状態が長く続いてしまう慢性的な高血糖です。高血糖が続いてしまうことによって、以下のような変化が起こり最終的には自覚症状として現れてしまいます。

 

ポリオール経路の亢進

(糖が異常な代謝経路に流れること)
→ 神経の中にソルビトールがたまり、神経がむくんで働きが悪くなる

 

酸化ストレス

(体の中で“サビ”のようなダメージが起こる状態)
→ 神経の細胞が傷つく

 

微小血管障害

(神経に栄養を送る細い血管が傷むこと)
→ 神経に十分な酸素や栄養が届かなくなる

 

これらが重なり、神経の働きが徐々に低下していきます。

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2. 糖尿病神経障害の症状

糖尿病による神経障害の症状は大きく2つに分かれます。

①末梢神経障害(手足の神経の障害)

※右側だけ左側だけではなく、両手あるいは両足に出現するのが特徴です。

 

 ✅足先・手先のしびれ
 ✅ジンジン・ピリピリした痛み
 ✅感覚が鈍くなる(やけどやケガに気づきにくい)
 ✅夜間に悪化しやすい

②自律神経障害(内臓や血圧などを調整する神経の障害)

 ✅立ちくらみ(起立性低血圧)
 ✅便秘・下痢
 ✅発汗異常(汗が出にくい/出すぎる)
 ✅胃もたれ(胃の動きが悪くなる)
 ✅排尿障害

 ✅勃起障害

 

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3. 糖尿病神経障害の検査

神経障害は複数の方法で評価します。

▷問診・診察

 ・症状の確認
 ・アキレス腱反射(足首の反射)をみる
(神経の働きが低下すると反射が弱くなる)


▷振動覚検査:音叉(振動する器具)を使って感覚を確認
 → 振動を感じにくい=神経障害の可能性

 

▷モノフィラメント検査:細い糸のような器具で足の感覚をチェック
 → 痛みや圧を感じる力を確認

 

▷神経伝導検査:神経に電気を流して伝わる速さを測る検査
 → 神経のダメージの程度を客観的に評価

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4. 糖尿病神経障害の治療

糖尿病神経障害の治療では、「神経障害をこれ以上進行させないこと」と、「症状を和らげ、足のトラブルを予防すること」が重要になります。特に、神経障害によって足の感覚が低下すると、傷や感染に気づきにくくなるため、日常的なフットケアも治療の大切な一部です。

 

① 血糖コントロールの改善

最も重要なのは、血糖値を適切に管理することです。高血糖の状態が続くと、神経へのダメージが徐々に進行していきます。そのため、食事療法、運動療法、内服/インスリン治療などを組み合わせながら、血糖値を安定させることが治療の基本になります。特に初期の神経障害では、血糖コントロールを改善することで症状が軽減する場合もあります

 

② 痛みやしびれに対する治療

糖尿病神経障害では、ピリピリする、ジンジン痛む、焼けるように痛いといった神経特有の痛みが出ることがあります。このような症状に対しては、神経の痛みを和らげる薬を使用します。代表的な治療薬には、プレガバリン、ミロガバリン、デュロキセチンなどがあります。これらは一般的な鎮痛薬(ロキソニンなど)とは異なり、「神経の痛み」に対して作用する薬です。

 

③ 神経障害の進行を抑える治療

一部の薬には、神経へのダメージを軽減し、進行を抑える効果が期待されています。アルドース還元酵素阻害薬
は糖の異常代謝を抑える作用があり、高血糖によって神経に負担をかける物質の産生を減らし、神経障害の進行を抑える目的で使用されます。

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④ フットケア(足のケア)

糖尿病神経障害では、足の感覚が低下することで、靴ずれ、小さな傷、やけど、巻き爪などに気づきにくくなります。さらに糖尿病では傷が治りにくいため、放置すると感染潰瘍(深い傷)につながることがあります。

そのため、毎日のフットケアが非常に重要です。

 

日常生活で大切なポイント
 ✅毎日足を観察する
 ✅足の裏や指の間も確認する
 ✅裸足で歩かない
 ✅サイズの合った靴を選ぶ
 ✅深爪を避ける
 ✅足を清潔・乾燥しすぎないよう保湿する

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まとめ

糖尿病神経障害は、糖尿病による3大合併症のひとつであり、比較的早い段階から起こりやすい合併症です。初期には「足先が少ししびれる」「感覚が鈍い気がする」といった軽い症状だけの場合もありますが、進行すると日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。

 

特に注意したいのは、感覚が低下することで足の傷ややけどに気づきにくくなる点です。小さな傷でも放置すると感染や潰瘍につながり、重症化することがあります。

一方で、糖尿病神経障害は早期発見・早期治療によって進行を抑えられる可能性があります。血糖コントロールを適切に行い定期的に足や神経の状態を確認することがとても重要です。

 

当院では、糖尿病の診療だけでなく、神経障害を含めた合併症の早期発見・予防にも力を入れています。気になる症状がある方や、健康診断で血糖値の異常を指摘された方は、お気軽にご相談ください。

 

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筆者 井上光子(副院長)

日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医

日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医・指導医

内分泌代謝・糖尿病内科領域 専門研修指導医(領域指導医)

 

武蔵小金井みどりクリニック

糖尿病内科・内分泌内科・内科

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